建築いろいろ, .

1000年近く日本各地に建ち続ける、23の選び抜かれた木造建築が掲載されている本。

 

掲載されているのは、寺・神社の宗教施設が多いが、他にも城・住宅・船頭小屋・橋と多彩。

 

そのどれもが、個性的・独創的・見たことがない・ビックリ!の四拍子揃った建築で、全てを訪ねたくなってしまう魅力的な写真と文章で構成されている。外国語版も出ていれば、外国人旅行者にも人気になるだろう。

 

独特な意匠の木造建築が目立つ本だが、長持ちしている木造建築の外観特徴と建材も明確に分かる本である。

 

これから注文住宅を建てる人は、この本を読んで自分の家の外観と建材の参考にしてみよう。

 

掲載建築

【目次】より

1.浄土寺 浄土堂 2. 平等院 鳳凰堂 3. 錦帯橋 4. 松本城 5. 大瀧神社6. 奈良井宿・中村邸 7. 金峯山寺 蔵王堂 8. 旧金毘羅大芝居(金丸座) 9. 赤神神社 五社堂10. 臨春閣 11. 投入堂 12. 屋根付き橋 13. 蓮華王院 三十三間堂 14. 出雲大社 御本殿15. 笠森寺 観音堂 16. 成巽閣 17. 会津さざえ堂 18. 菅の船頭小屋 19. 富貴寺 大堂20. 瑠璃光寺 五重塔 21. 坪川家住宅 22. 茶室 如庵 23. 嚴島神社

 

古い木造建築の特徴は、老人のような生々しさ

著者は、文章が建築史家であり建築家の藤森照信さん。写真と文章が建築写真家の藤塚光政さん。文章も非常に分かり易く秀逸だが、(良い意味で)写真が生々しい。

 

今までも、古寺を訪ねたり写真を見たりすると、生々しいと感じていたが、この本を読んで、何故そう感じるのか分かった。

 

生々しい建築の意味は、人や生き物のように、建築が年老いたり、朽ちていくような様が分かること。掲載建築が威厳ある老人のように感じるので、畏怖の念を感じると共に、自分で勝手に擬人化してしまい生々しく感じるのだ。

 

この本に掲載されているのは、木の建築なので、外壁・軒裏・柱等の外部に露出されている建材が全て無垢の木で、老人の肌のように経年変化している。これが生々しさの理由である。

 

生々しさと羨望に拍車をかけるのは、人は死ぬが、この名建築群は古びながらも修復され続けて、ゾンビのように!?今後も生き延びるからだ。人間の生存期間の10倍以上も建ち続けている本当に凄い建築群である。

 

一番長く使える外壁材は「木」という現実

外壁材として使った米杉(ウェスタンレッドシダー)ウッドロングエコ仕上げ

1000年近く修復できている理由は、建材が「木」だからである。建材メーカーが造っている新建材なら直ぐに廃盤になってしまうので、モノが無くなり修復が効かないが、無垢の木ならいつまでも存在する。

 

現代木造住宅の外装は、基本的に10~15年に一度はメンテナンスが必要なので、メンテナンスコストを最小に出来て、かつ長持ちする外壁材が何かをいつも考えている。

 

山に囲まれ、大工技術が高く木造建築が発展している日本で、一番長く修復しながら使える建材を考えると、やはり外壁材は「木」なのだという現実を見せつけられる内容の本である。

 

老人のように経年変化していく様子を「美しい」と受け入れられて「良し」と感じる施主なら、一番手入れ回数が減らせて維持更新できる外壁材は無垢の木なのだから、強烈におススメしたい。

 

次に、外壁に木を使うには外観特徴が重要だという話。

 

1000年持つ木造建築の外観特徴

富貴寺大堂。「プロポーションの良さをこれほど感じた建物はない」との記載ありで納得。

掲載されている各建築の外観特徴は大きな屋根。写真で屋根が大きく見える理由は、勾配が付いた屋根が載っているからである。

 

また、屋根は外壁から大きく出っ張っている(軒の出という)。

 

キチンと水勾配の付いた屋根は、出来るだけ早く雨水を排出できるので屋根は傷みにくい。

 

また大きな軒の出は、木の外壁に雨水を当てにくくしている。屋根と軒の出は、大きな傘の代わりだ。

 

日本は雨が多いので、屋根は自然とこの形態になり、屋根の大きさはバランスの良い外観にも繋がっており、どの建築も非常にプロポーションが良い。プロポーションとは外観バランスのこと。

 

逆に現在、一部で流行している真四角のBOX型住宅は、雨の多い日本の気候風土には合わないことが分かるばかりか、ローコストビルダーも同じような住宅を建てているので、辞めた方が良いだろう。

 

 

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