2017-02-02
リフォーム
日常のお手入れ

これから新築・リフォームをする人は、「シロアリ被害実態調査報告書」をザックリ読んでおこう

昨日のブログ「白蟻(シロアリ)被害を受けやすい家、9つの特徴とその対策」を書く時に、ネット検索していたらシロアリ被害実態調査報告書を見つけました。

 

基礎断熱と白蟻被害を示したグラフとか、在来浴室(造作風呂)はユニットバスより約2倍白蟻被害を受けやすい等、

有益情報があったのでザックリ掲載します。

 

国土交通省の補助を受けて、白蟻被害の実態調査をしたものです。

 

シロアリ被害実態調査報告書

 

国から、シロアリ被害実態調査の補助金が出た理由は、既存住宅売買瑕疵保険に、白蟻被害の保険対象化を検討するため。

 

現在、白蟻被害は住宅瑕疵担保責任の対象外だが、中古住宅流通・リフォーム市場の倍増に向けて、消費者のニーズの高い木造住宅の白蟻被害の保険対象化を図るためのデータ収集と分析のために補助金が出たとのこと。

 

報告書は、既存木造住宅を調査し、白蟻被害の有無と建物の様々な条件との相関を調べることで、白蟻被害のリスクを検証している。全国の約5000件からデータを取っています。

 

表は全てシロアリ被害実態調査報告書からお借りしました。

 

在来浴室(造作風呂)はユニットバスより約2倍白蟻被害を受けやすい

 

浴室別白蟻被害グラフ在来浴室(造作風呂)はユニットバスより白蟻被害を受けやすいことは分かっていたのですが、データで見るとやっぱりということになります。

 

基礎断熱種類と白蟻被害を示したグラフ
基礎断熱種別建物数

基礎断熱は、まだまだ少ない

調査した5322件のうち、基礎断熱は97件なので、基礎断熱は全体の約2%。その9割が基礎内断熱。基礎断熱自体と基礎外断熱が少ないのは、北海道と青森は調査対象になっていないからだと思われる。

 

基礎断熱種別白蟻被害

本州で基礎断熱が施工されるようになったのは、この10年程なので、サンプル数が少ないが、基礎断熱なしに比べると、基礎内断熱は約2倍白蟻が発生しやすいようだ。基礎外断熱はそれ以上に白蟻は発生しやすいだろう。

 

本州でも超高性能住宅を造っている住宅会社・設計事務所は、床断熱から基礎断熱に変更しているところが増えている。気密性が取りやすく、床下エアコンを導入できるからだ。私も去年初めて、基礎内断熱+壁200㎜W断熱+天井300㎜断熱を行い、床下エアコンを入れたが非常に快適である。

 

栃木県宇都宮市で床下エアコンを設置するにはQ値1.5が必要?!。床下エアコンの快適性と設置状態を連続写真でご覧あれ。

 

今はサンプル数が少ないが、経年するとより詳しい基礎断熱と白蟻被害のデータが出てくるだろう。基礎断熱で築25年を過ぎると白蟻被害が頻発と書いてあるが、保証期間満了以降、白蟻防除をしていない事例である。

 

しかし基礎断熱をする場合は、床断熱よりも白蟻は発生しやすいというデータが出たので、新築後5年程度ごとの定期点検は必須で、5~10年以内に1度はヒバ油等で防除処理をしたほうが良いのかもしれない。

 

OMソーラーをやっている住宅会社や設計事務所は、白蟻発生の多い関東以南が多く30年近く基礎断熱を行っているはず。ザックリ検索してみたが、点検と防除ということが書いてあるだけで、特別なことはしていないようだ。

白蟻被害は無くても、保証期間満了後には防蟻処理はしたほうが良いという報告書

 

保証満了からの被害

シロアリ防除をしないで経年すると白蟻発生率は上がる

白蟻保証期間満了日からの経過年数別、白蟻被害数。白蟻保証期間が切れて、10年後には20%が白蟻被害にあっており、経年と共にその数は増えているということになる。白蟻被害は無くても、保証期間満了後には防蟻処理はしたほうが良いということをお客さんに勧めるべきだということだ。

シロアリ被害実態調査報告書

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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